メーカーの地道な開発努力で生まれたメリット
軽自動車のメリットは大きく分けて2つあります。1つは高い経済性、1つは運転しやすい操縦性です。どちらも軽自動車特有の定められた規格というルールの中で、メーカーの開発努力によって生み出されたメリットです。
道路運送車両法によって定められた軽自動車は、ボディサイズと排気量が制限されている分、税金や保険料、高速道路の通行費などが優遇されていますが、高い経済性は法的な部分だけではなく、メーカー側の開発努力によって年間維持費の全体を安く済ませるための性能が搭載されています。
現在、軽自動車の加熱する燃費競争は36~37km/L台に入っており、ガソリンエンジン車では国内最高、ハイブリッド車と合わせても肩を並べる勢いになっています。
ここまで進化していると頭打ちではないか、という予想もありますが、メーカー側はボディに樹脂外板を使うなどして、さらに燃費効率を高める技術力を開発しています。
- メーカーの地道な開発努力で生まれたメリット
- 運転しやすい操縦性能は技術力の結晶
- ボディが小さいので細い道もへっちゃら
- 軽自動車は独創的な魅力満載
- 燃費がいい
- 小回りが効く
- 最近の軽自動車は直進安定性重視の傾向
運転しやすい操縦性能は技術力の結晶
もう1つのメリット、運転しやすい操縦性においてもメーカーの細かい技術力が認められます。
ボディサイズが小さいとはいえ、スーパーハイトワゴンになると、センターピラーによる左右の死角、ボディ両サイドの死角が大きくなりますが、センターピラーを2重にして間にウインドウを設ける、サイドミラーやサイドウインドウのデザインに工夫をして死角を最小限にするなど安全運転のための配慮が随所に見られます。
軽自動車には規格制限があるので万能タイプの車種ではありませんが、その分、性能に特化した車種を揃えているのが特徴です。
豊富な車種のおかげで、初心者は操縦性が高く取り回しのよい2BOXハッチバックスタイルをエントリーカーとして、小さな子供のいる家庭では車内が広いスーパーハイトワゴンやスーパーハイトワゴンをファーストカーとして選ぶことができるようになりました。
このページのコンテンツでは他にも数多くある軽自動車のメリットを細かく解説しているので、選択・購入の際の参考にしてください。
ボディが小さいので細い道もへっちゃら
軽自動車は、全長3.4m以下・幅1.48m以下、高さ2.0m以下と法令で決められているので、これ以上大きく製造することはできません。
一方、普通車は、大きなものも製造できます。居住空間の広さや快適性を考えると、大きい車を造った方が、人気がでます。
しかし日本の道路は細い道が多く、中には歩道がないような路地もたくさんあります。このような道路では、小さな軽自動車が大活躍です!
大きいトヨタのハイエースなんかだと、小さいグレードでも、全長4.6m全幅1.695mありますから、立ち往生してしまう路地もあるでしょう。
細い道をスイスイ曲がるために必要なのは、車体の長さと幅が小さいことです。高さは関係ありません。
どのような軽自動車でも、軽自動車と名がついていれば、必ず全長3.4m以下・幅1.48m以下です。
普通車でこれより小さなものは、特殊なものでない限り見たことがありません。よって軽自動車は、日本の道路事情にしっかり合致した車だといえます!
軽自動車は独創的な魅力満載
軽自動車はボディサイズが規格で制限されているので、車内空間を広く取ろうと設計すれば、どのメーカーも似たようなシルエットになってしまいます。
したがって軽自動車を製造する各メーカーは他社との差異化を図るために独自の機能を多く盛り込んで軽自動車ならでは、の魅力を発揮させています。
現在、車内空間をもっとも広く設計しているのはスーパーハイトワゴンで、全高は1.7m以上と小型車ミニバンに匹敵するほどの車高を持っています。
しかし車幅や全長は規格ギリギリまで使っているので、どの車種も箱型のシルエットになってしまっていますが、その中でオリジナリティを強く打ち出しています。
たとえばダイハツのタントは助手席側のセンターピラーを取り外してドア開口部を広げたミラクルオープンドアを装備、ホンダのN BOXはガソリンタンクを床下に配置するセンタータンクレイアウトで車内空間をさらに広げ、スズキはスペーシアでライバル達を圧倒する低燃費を実現させました。
ボディサイズ規格は軽自動車の「縛り」ではあるけれど、同時に自由な発想とそれを実現できる制約でもあります。
基本的なプラットフォームがあれば派生車種を多く作れるので細かなニーズまで対応でき、小型車や普通車では販売できないニッチな車種も製造できます。ダイハツのコペンやホンダのS660はその代表的な例といえます。
ただし、魅力的な軽自動車が増えた分、車両価格も全体的に上がっており、最近では乗り出し価格が200万円を超える車種も多く販売されています。
燃費がいい
軽自動車は小回りが利く、維持費が安いなどいろいろなイメージをお持ちかもしれませんがやはり燃費性能の良さという点を挙げる方も多くいると思います。
軽自動車は燃費がいい!と一口に言ってしまうのは、ちょっとまずかったかもしれません。正しく言うと、”燃費がいいものもあるが、悪いものもある!”という感じです。 普通車と同じですね...。
軽自動車も決して負けておらず、ハイブリッドでなくとも純粋なガソリン車として、"第3のエコカー"の需要も高まってきています!
小回りが効く
道路を走っていて、ちょっと道を間違えてUターンしたり、せまい駐車スペースに車を停めるときなんかには、ハンドルをいっぱいに切って曲がることも多くあると思います。
そんなとき車の小回りが効くと、ハンドルを何度も切り返して方向転換することなく、楽に曲がることができます。混んでいる道で他車に迷惑をかけることもなくなります。
その車がどれくらい小回りが利くのかは、”最小回転半径”という値で表します。ハンドルをいっぱいに切って、どれだけ小さな半径で回転できるかということです。
軽自動車とコンパクトカーの小回り比較
軽自動車と普通車の中でも小さなコンパクトカーで、小回りを表す最小回転半径を比較してみました!
総合的に見ると、軽自動車の方が小回りが効くということになりますが、コンパクトカーもグレードによってはけっこういい線いきます。ただやはり軽自動車の方が有利です。
軽自動車はボディの全長が小さいこと、タイヤの直径が小さいことなど、小回りに関しては有利な点が多いので、軽自動車は小回りが利く車種が多いのです。
私も普通車を運転していて小回りが利かなくて困ったことはありますが、軽自動車を運転していて小回りに困ったことは全くありません。小回りが効くと、特に交通量の多い道路でUターンする際、とても楽です。ハンドルを切り返したりモタモタしていると、後続車に迷惑がかかりますからね。
軽自動車の小回りの良さは、普通車にないメリットです!
最近の軽自動車は直進安定性重視の傾向
ホイールベースと最小回転半径の関係とは
最小回転半径は値が小さいほど小回りが利くことになりますが、最小回転半径はホイールベース(前輪の中心点と後輪の中心点の長さ)が大きく関係しており、短ければ値は小さく、長くなれば値は大きくなります。
ではイールベースが短い方がいいのか、というと一概には言えず、軽自動車の特性によってホイールベースが決められます。
簡単に言うとホイールベースが短くなれば小回りは効きますが、直進安定性が損なわれます。
またタイヤハウスが車内空間に張り出してしまうため、客室や荷室のユーティリティ性も劣ってしまいます。軽自動車は車内空間をできるだけ広く、しかもユーティリティ性を高めたいので、多少、最小回転半径の値を大きく取っても車内空間を広げる設計を優先しています。
その典型がスーパーハイトワゴンです。ダイハツのタントを例に取ると、前後輪ともにボディの四隅に配置され、それぞれのオーバーハング(タイヤの中心位置からフロント先端、あるいはリア後端までの長さ)はほとんどありません。
スーパーハイトワゴンは小さな子供が立って着替えられるほどの車内高が求められるため、床面はできるだけフラットにしたい設計思想からタイヤ位置が車内空間へ干渉しないように、このタイヤ位置になりました。
結果としてホイールベースは2455mmに達し、最小回転半径が4.4m(ターボ装着車は4.7m)と軽自動車では比較的大きい値となっています。
購入の際は必ず諸元表を見て最小回転半径を確認する
小回りが利くことは軽自動車の大きなメリットですが、最近は以前よりも最小回転半径の値を大きく取る傾向にあります。
軽自動車の走行性能が向上し、軽自動車でも高速道路を走行する機会が増えたことから直進安定性を重視してホイールベースを長く取っていることがその理由です。
以前はもっとも小回りが利く軽自動車だった2BOXハッチバックタイプも直進安定性を優先しており、2014年12月に発売されたスズキのアルトは軽量で安価だった初代回帰をコンセプトとしながらも、ホイールベースはタントよりも長い2460mmを確保、最小回転半径は4.6mとなっています。
また4WDは2WDよりも最小回転半径が大きくなる場合があります。フルタイム4WDは前輪を切り角いっぱいにして旋回しようとしても後輪軸まで旋回するわけではないので、後輪は回転半径の外側に向かって駆動してしまうからです。
車種によってはターボチャージャーを装着したことによってエンジンルームが圧迫され、タイヤの切り角が狭くなってしまうこともあるので購入の際は必ず諸元表を見て最小回転半径の値を確認してください。
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